JUNJI YOKOYAMA
横山 淳司 代表取締役会長
独立してみたい!という気持ちひとつ。会社設立の経緯は極めてシンプルです(笑)。ただ、自分ができそうなことと言えば、唯一、仕事経験のある飲食業だけ。ライバルが多い業界で真っ向から挑んでも勝算が無いことは分かっていましたので、形は飲食でも何か違う角度からアプローチしたいと模索を続けていました。きっかけになったのは、当時流行していた「街コン」。参加者がものすごく楽しんでいる姿を目の当たりにして、「恋愛」に秘めたパワーに衝撃を受けたことを覚えています。少子化などの社会問題にもリンクしていたため、エンターテインメント性だけではなく社会的意義も大きいのではないか。不定期のイベントではなく日常的に出逢いの場があればおもしろいのではないか。そうして生まれたのが「相席屋」です。
「恋愛がテーマ」と言うと人によって受け止め方が違います。この取り組みが、総合婚活支援や少子高齢化の是正、ひいては日本の活力の源となる社会的意義をみなさんに知っていただけたら嬉しいです。それにこの経営は、恋愛に積極的な層よりもむしろ、内気だったり恥ずかしがり屋だったり、あるいは“興味が無いふり”をしている方に、注目してもらいたい。最近は恋愛に関するアプリが大きな反響を呼んだり、婚活をサポートする企業が上場する時代。恋愛に否定的な方々も、心のどこかできっかけを待っているんじゃないかって思うんです。私が描いているのは、誰もが期待できる空間と場所を提供すること。そして、目先の恋愛価値ではなく、「婚姻率」「出生率」の向上といった日本の未来に貢献することです。
飲食事業の主力ブランドは「相席屋」と「The Public stand(パブリックスタンド)」。いずれも恋愛のきっかけをつくるのがコンセプトですが、お客様の年齢や志向、社会的ポジションはさまざまですので、目的によって来店する空間を変えられるよう、店舗数を増やすだけでなく“用途の違う”場所づくりにも注力しています。その一つの形が、2017年1月に立ち上げた新ブランド「The Public stand」でした。同年12月には「カジュアルリッチな相席を」というテーマで「FIX LOUNGE(フィックスラウンジ)」第一号店を銀座にオープン。2ブランドとも、いわば「相席屋」のライバル業態ですが、あえてそれを自分たちでつくっていくことで、根底にある大テーマを広められるのではないかと考えています。
ひと言で表すと、おせっかいな人。人の縁をつなぐことに楽しさを感じる人というのは、他人の心に関心が深く、頼まれていないことでも積極的に実行するもの。自分の恋愛となるとなかなか腰が重い方も、他人の良縁報告に敏感になれるなら十分に素養があると思います。とはいえ仕事ですので、最初の1~2年は「何をしたら喜んでいただけるのか」「何をしたら不快に感じられるのか」「どうすればまたご来店してもらえるのか」など、実際の現場でさまざまな考え方を知ることが大切。それが無いと、ターゲットを定めたり戦略を練ることができないので、企画や販促もできません。また、全社員の目標が「キャリアアップ」である必要はないと考えていますので、「お客様と深く関わりたいだけ」「早く出世したい」「プライベートと両立したい」など、何かひとつでも主張できるポイントがあれば、その想いに合わせた活躍の場を提供できる環境です。
昔と違い、いまは最初に就職した会社に一生勤めるとは限りません。転職者は増えていますし、第二新卒者や中堅キャリアの力を欲している企業も増えている世の中です。つまり、いま人生のすべてを決める必要は無いということです。肩に力を入れ過ぎず、素直に「楽しそう」「おもしろそう」「もっと知りたい」という気持ちを大切にしてください。「とりあえずやってみてもいいかな」という好奇心のかけらが、原石となり、輝いていくことだってあるんですから。