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配偶者に不倫された。それだけでも精神的な打撃は計り知れないにもかかわらず、「相手に養育費を払わなければならないのか」「不倫された自分が逆に養育費をもらえるのか」という疑問が頭から離れない方は多いはずです。
「不倫したのに養育費までもらえるなんておかしい」「慰謝料と相殺できないのか」「少しでも払う金額を減らしたい」。こうした感情はごく自然であり、むしろ当然のことです。しかし、養育費に関する法律は感情とは切り離されており、正しく理解しておかないと後から大きな損をすることになります。
この記事では、不倫が絡む離婚における養育費の支払い義務の有無から、ケース別の負担パターン、具体的な金額のシミュレーション、慰謝料との法的な関係、そして2026年4月から施行される最新の法改正まで、余すことなく解説します。「払いたくない」という方も、「確実に受け取りたい」という方も、まずはこの記事を最後まで読んでから次のアクションに進んでください。
結論!不倫した・されたに関わらず「養育費」の支払い義務はある

養育費と不倫は法律上まったく別物
不倫や浮気が原因で離婚したとき、「養育費を支払う義務があるか」という問いに対する答えは「ある」です。これは不倫した側・された側どちらにも当てはまる原則です。
日本の法律において、養育費の支払い義務は「誰が夫婦関係を壊したか」という有責性とは完全に切り離されています。民法上、父母はその経済力に応じて子を扶養する義務を負っており(民法第877条)、この義務は離婚の原因とは無関係に発生します。つまり、不倫した配偶者であっても、離婚後に子どもと一緒に暮らす親権者になった場合、もう一方の親に対して養育費を請求する権利が認められています。
この点は、感情的にはとても受け入れがたいことかもしれません。しかし、養育費はあくまで「子どものための費用」であり、夫婦間の不満や怒りをぶつける場ではないというのが法律の立場です。
養育費は「子どもの権利」のため有責性は関係ない
養育費の法的な性質をもう少し掘り下げると、養育費は「非監護親(子どもと同居していない親)から、子どもの生活・教育・医療などに充てるために支払われる費用」です。支払い義務の根拠は親子関係にあり、婚姻関係の破綻原因ではありません。
したがって、以下の主張はいずれも法律上通用しません。
- 相手が不倫したのだから養育費を払わない
- 相手に有責があるのだから養育費の金額を減らすべきだ
- 不倫への怒りを理由に養育費の支払いを拒否する
子どもには、父母のどちらが悪くても「十分な養育を受ける権利」があります。この権利は親の有責性によって奪われるものではないというのが、日本の法律の一貫した立場です。
「不倫されたから払いたくない!」慰謝料と養育費は相殺できる?

慰謝料と養育費は法律上「相殺」できない理由
「不倫された慰謝料と養育費を相殺してゼロにしたい」という考えは理解できますが、法律上はこれが認められていません。その理由は以下の3点に集約されます。
まず、相殺の前提として「当事者間で債権と債務が対立していること」が必要ですが、養育費の請求権は子ども(または親権者)から非監護親に対するものであり、慰謝料の請求権は夫婦間のものです。当事者の主体が異なるため、相殺の要件を満たしません。
次に、養育費は将来にわたって毎月支払われる継続的な債務であり、将来分については弁済期が到来していないため、相殺の対象にできません。
さらに、民法第510条により、養育費のような差押禁止債権を相殺の対象とすることは法律上禁じられています。養育費は子どもの生活費として現実に充てられることが保障されるべきだからです。
実務上の調整方法(当事者合意による調整)
法律上の相殺はできないものの、実務的には父母間の合意によって「事実上の調整」を行うことは可能です。具体的には、以下のような取り決めが行われるケースがあります。
- 「慰謝料として○○万円を支払う代わりに、養育費を月額△万円に減額する」
- 「慰謝料の支払いを免除する代わりに、養育費を相場より多く支払う」
- 「慰謝料と養育費を一括でまとめて、一定額を解決金として支払う」
こうした合意は、父母間では有効と解釈されています。ただし、子ども自身が持つ固有の扶養請求権まで親が代わりに放棄させることはできないという点に注意が必要です。合意内容は必ず公正証書に残しておきましょう。
養育費を「慰謝料代わり」に受け取る方法
不倫された側が「慰謝料をもらう代わりに養育費を増額してもらいたい」「慰謝料の一部を養育費として毎月受け取りたい」と考える場合、これは前述の合意型調整で対応できます。
具体的には、以下のような形で交渉することが現実的です。
- 慰謝料の一括払いを求めるのではなく、月々の養育費に上乗せする形で受け取る
- 養育費の支払い期間を延長する代わりに、慰謝料請求を一部猶予する
- 財産分与・養育費・慰謝料をひとつの「離婚給付」としてまとめて交渉する
このような総合的な解決は、弁護士が代理人として交渉する場面でよく用いられる手法です。感情的になりやすい局面だからこそ、専門家のサポートを借りて交渉をまとめることが大切です。
不倫慰謝料の相場と影響する要因
不倫の慰謝料は「いくら請求できるか」が気になるところです。実際の裁判例をもとにまとめると、相場は以下のとおりです。
不倫・浮気が発覚した際に請求できる慰謝料の目安は以下のとおりです。

| 状況 | 慰謝料の相場 |
|---|---|
| 不倫が原因で離婚した場合 | 150万〜300万円程度 |
| 不倫はあったが離婚しない場合 | 50万〜100万円程度 |
| 不倫期間が長く、子どもへの影響も大きい場合 | 300万円を超えることもある |
この相場はあくまで目安です。以下の要素によって金額は大きく上下します。
- 不倫の期間が長いほど慰謝料は増額される傾向がある
- 不倫相手との間に子どもができた場合は増額されやすい
- 夫婦の婚姻期間が長いほど精神的ダメージが大きいとみなされ増額されやすい
- 不倫された側が精神疾患を発症するなど健康被害が生じた場合は増額される
- 相手が離婚を拒んでいて婚姻関係が継続している場合は減額されやすい
慰謝料請求には証拠が不可欠
不倫の慰謝料を請求するためには、不倫の事実を立証できる証拠が必要です。証拠なしに「不倫していた」と主張しても、相手方が否定すれば請求が認められない可能性が高くなります。
有効な証拠として認められやすいものは以下のとおりです。
- 不倫相手との性的関係を示すLINE・メッセージ・メールのスクリーンショット
- 不倫相手とふたりでホテルや自宅に出入りする写真・動画(探偵の調査報告書含む)
- クレジットカードの明細(ホテル・レストランなどの支払い記録)
- 不倫を認める本人の録音・文書(承諾書・謝罪文)
- 目撃者の証言
なお、証拠の収集方法が違法(プライバシーの違法侵害、不正アクセスなど)な場合は、証拠として採用されないだけでなく、収集した側が法的責任を問われることもあります。証拠収集は慎重に行い、不安な場合は弁護士や探偵事務所に相談してください。
慰謝料の請求には時効がある
不倫の慰謝料請求には時効があります。この点を見落として請求できなくなるケースも実際に起きているため、必ず確認しておきましょう。
慰謝料請求の時効に関するルールは以下のとおりです。

| 条件 | 時効 |
|---|---|
| 不倫の事実と相手を知った時点から | 3年以内に請求が必要 |
| 不倫があった時点から | 20年以内(時効の上限) |
| 離婚した場合 | 離婚成立後3年以内 |
不倫の証拠をつかんだ後、精神的なダメージで動けない時期が続くこともありますが、3年という時効は意外と早く到来します。証拠を確保したら、早めに弁護士に相談して請求の手続きを進めることを強くおすすめします。
不倫離婚後の養育費の相場はいくらか

養育費算定表の見方と使い方
養育費の金額は、夫婦の話し合いで自由に決めることができますが、実務では裁判所が公表している「養育費算定表」をもとに決定するのが一般的です。この算定表は調停や裁判でも基準として活用されており、客観的な目安として広く用いられています。
算定表の使い方はシンプルです。まず、家庭の状況(子どもの人数と年齢の組み合わせ)に合わせて「表1〜表9」の中から該当するものを選びます。次に、養育費を支払う側を「義務者」、受け取る側を「権利者」として、それぞれの年収を縦軸・横軸で照合し、交差する箇所を確認します。
年収の確認方法は以下のとおりです。
- 給与所得者(会社員・パート等)の場合 → 源泉徴収票の「支払金額」欄を参照
- 自営業者の場合 → 確定申告書の「課税される所得金額」欄を参照
年収・子供の人数別の養育費シミュレーション一覧表
以下では、養育費を支払う側(義務者)の年収別に、子どもの人数ごとの養育費の目安を一覧にまとめます。受け取る側(権利者)の年収は、給与所得者として年収100万円程度の場合を想定しています。実際の金額は双方の年収や子どもの年齢によって変動しますので、詳細は弁護士または自動計算ツールでご確認ください。

年収300万円の場合
義務者の年収が300万円のとき、養育費の目安は以下のとおりです。
| 子どもの人数・年齢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 子ども1人(0〜14歳) | 2万〜4万円程度 |
| 子ども1人(15〜19歳) | 3万〜5万円程度 |
| 子ども2人(ともに0〜14歳) | 4万〜6万円程度 |
| 子ども3人(ともに0〜14歳) | 4万〜6万円程度 |
年収400万円の場合
義務者の年収が400万円のとき、養育費の目安は以下のとおりです。
| 子どもの人数・年齢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 子ども1人(0〜14歳) | 4万〜6万円程度 |
| 子ども1人(15〜19歳) | 5万〜7万円程度 |
| 子ども2人(ともに0〜14歳) | 6万〜8万円程度 |
| 子ども3人(ともに0〜14歳) | 6万〜8万円程度 |
年収500万円の場合
義務者の年収が500万円のとき、養育費の目安は以下のとおりです。
| 子どもの人数・年齢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 子ども1人(0〜14歳) | 6万〜8万円程度 |
| 子ども1人(15〜19歳) | 7万〜9万円程度 |
| 子ども2人(ともに0〜14歳) | 8万〜10万円程度 |
| 子ども3人(ともに0〜14歳) | 9万〜11万円程度 |
年収600万円の場合
義務者の年収が600万円のとき、養育費の目安は以下のとおりです。
| 子どもの人数・年齢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 子ども1人(0〜14歳) | 8万〜10万円程度 |
| 子ども1人(15〜19歳) | 9万〜11万円程度 |
| 子ども2人(ともに0〜14歳) | 10万〜12万円程度 |
| 子ども3人(ともに0〜14歳) | 11万〜13万円程度 |
年収800万円の場合
義務者の年収が800万円のとき、養育費の目安は以下のとおりです。
| 子どもの人数・年齢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 子ども1人(0〜14歳) | 10万〜12万円程度 |
| 子ども1人(15〜19歳) | 11万〜13万円程度 |
| 子ども2人(ともに0〜14歳) | 14万〜16万円程度 |
| 子ども3人(ともに0〜14歳) | 15万〜17万円程度 |
年収1,000万円の場合
義務者の年収が1,000万円のとき、養育費の目安は以下のとおりです。
| 子どもの人数・年齢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 子ども1人(0〜14歳) | 12万〜14万円程度 |
| 子ども1人(15〜19歳) | 13万〜15万円程度 |
| 子ども2人(ともに0〜14歳) | 16万〜18万円程度 |
| 子ども3人(ともに0〜14歳) | 18万〜20万円程度 |
なお、受け取る側の年収が高い場合や子どもの年齢が高い場合は、上記の目安から金額が変動することがあります。正確な金額は必ず算定表または専門家に確認してください。
養育費が相場より高くなるケース
算定表に基づいた標準的な金額を超えて、より高い養育費が認められる場合もあります。こうした特別な事情がある場合には、交渉や調停で加算を求めることが可能です。
具体的に養育費が相場より高くなりやすいケースは以下のとおりです。
- 子どもが私立学校に通っている場合(授業料が算定表の想定を超える場合)
- 子どもが大学院に進学するなど、教育費が特別にかかる場合
- 子どもが病気や障害を持ち、通常より医療費・療育費がかかる場合
- 義務者の収入が算定表の上限(年収2,000万円程度)を超えている場合
- 婚姻中に子どもが特別な習い事をしており、その継続が子の利益と認められる場合
養育費の支払期間とルール

原則は子が20歳になるまで
養育費の支払い期間については、法律上明確な定めがないものの、一般的には「子どもが成年に達するまで」とされています。民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられた(2022年4月施行)ことで、「18歳まで」を終期とする取り決めが増えていますが、慣行的には「20歳まで」とする合意も引き続き多く見られます。
取り決め時にどちらを終期とするかは当事者間で自由に決定できますので、子どもの進学状況や生活状況を見越して合意しておくことが重要です。
大学進学などで期間が延長されるケース
支払い終期として「大学卒業まで」や「22歳の3月末まで」と定めることも可能です。また、取り決め当初は「20歳まで」としていた場合でも、子どもが大学に進学したことを理由に養育費の延長交渉ができる可能性があります。
支払い期間に関して問題が生じた場合は、家庭裁判所に養育費の変更調停を申し立てることができます。
以下の場合には、養育費の支払い期間が前倒しで終了することもあります。
- 子どもが結婚した(未成年婚含む)
- 子どもが就職して経済的に自立した
- 親権者である親が死亡し、他の親が親権を引き継いだ
- 子どもが養子縁組をした
ケース別・不倫離婚後に誰が養育費を払うのか

不倫が絡む離婚では、「誰が不倫したか」と「誰が親権を持つか」の組み合わせによって、養育費の支払い方向が変わります。主なケースを以下で整理します。
妻が不倫して夫が親権者になる場合
妻が不倫し、かつ離婚後に夫が子どもの親権を取得したケースです。この場合、子どもと離れて暮らすことになった妻(非監護親)が、夫(監護親)に対して養育費を支払う義務を負います。不倫した妻であっても、この支払い義務は発生します。
ただし、妻に収入がない、または著しく低収入の場合は、養育費算定表に基づく計算結果が「0円」となることもあります。収入がなければ支払い義務が実質的に免除されるケースもありますが、将来的に就労した場合には改めて支払いが求められる可能性があります。
妻が不倫して妻が親権者になる場合
妻が不倫した場合でも、親権は必ずしも夫に移るわけではありません。日本の裁判実務では、親権の判断において「これまでの監護実績(主に子どもの世話をしてきたのはどちらか)」や「子どもの年齢・意向」が重視されます。そのため、不倫した妻が親権者になるケースも少なくありません。
この場合、不倫された夫(非監護親)が、不倫した妻(監護親)に対して養育費を支払う必要があります。「不倫されたのになぜ自分が払うのか」という怒りはもっともですが、この状況での養育費支払いは法的に義務です。ただし、この場合は不倫に対する慰謝料を別途請求できますので、後述の「慰謝料との関係」を参照してください。
夫が不倫して妻が親権者になる場合
夫が不倫したケースで、妻が親権を取得するのは最も一般的なパターンです。夫(非監護親)は、不倫した立場であっても、妻(監護親)に対して養育費を支払う義務を負います。
この場合、妻側は養育費に加えて慰謝料も請求できるため、経済的な回収手段が複数あります。養育費と慰謝料をどう組み合わせて請求するかは、弁護士に相談しながら進めるのが得策です。
夫が不倫して夫が親権者になる場合
夫が不倫した場合でも、諸事情により夫が親権を取得するケースがあります。この場合は、不倫された妻(非監護親)が夫(監護親)に対して養育費を支払う義務を負います。妻にも支払い能力がある場合は、養育費算定表に基づく金額を支払う必要があります。
不倫相手と再婚した場合の養育費はどうなるか
不倫した配偶者が不倫相手と再婚した場合、それだけでは養育費の支払い義務や金額は変わりません。親子関係に基づく扶養義務は、婚姻状況とは無関係に存続するためです。
ただし、再婚相手が子どもと「養子縁組」をした場合は異なります。養子縁組が成立すると、再婚相手にも法的な扶養義務が生じるため、元配偶者への養育費が減額または免除される可能性があります。養子縁組の有無は養育費に大きく影響しますので、再婚・養子縁組が行われた場合には速やかに養育費の見直しを申し立てましょう。
以下に、各ケースをまとめます。

| 不倫した側 | 親権者 | 養育費を払う人 |
|---|---|---|
| 妻 | 夫 | 妻(非監護親) |
| 妻 | 妻 | 夫(非監護親) |
| 夫 | 妻 | 夫(非監護親) |
| 夫 | 夫 | 妻(非監護親) |
上記の表のとおり、不倫した側・された側に関わらず、子どもと別居した「非監護親」が養育費を支払うのが原則です。
不倫した配偶者に養育費を払いたくない場合の合法的な対処法

不倫された側が「どうしても養育費を払いたくない」と感じるのは当然の心理です。しかし、感情だけで支払いを拒否すると強制執行につながるリスクがあります。以下では、法律の範囲内で養育費の負担を回避・軽減する方法を解説します。
自分が親権を取得する
最も根本的な解決策は、自分が親権者になることです。親権を取得すれば、養育費を「払う側」ではなく「受け取る側」になれます。
ただし、親権の判断は子どもの利益が最優先であり、不倫した側・された側という有責性はほとんど考慮されません。裁判実務では以下の要素が重視されます。
- これまでどちらが主に子どもの世話をしてきたか(監護実績)
- 子どもの年齢(10歳未満の子どもは母親が有利とされるケースが多い)
- 子どもが意思表示できる年齢(概ね10歳以上)の場合、子ども本人の意向
- 経済力・住環境・精神的安定性
したがって、配偶者に不倫された側であっても、監護実績が少なければ親権取得は難しい場合があります。親権獲得を目指すなら、離婚話が持ち上がった時点から日常的な育児への関与を増やし、証拠を残しておくことが重要です。
支払い能力がない場合は養育費の支払いが免除されることがある
養育費の支払い義務は、あくまで「資力の範囲内」での義務とされています。そのため、失業・重病・生活保護受給など、経済的に養育費を支払う能力が著しく低下している場合は、養育費の支払いが実質的に免除される、または減額されることがあります。
ただし、「支払いたくないから無職になる」といった意図的な収入隠しや収入減少は認められません。また、支払い能力が回復した後は、改めて支払い義務が生じます。
再婚・養子縁組によって養育費が減額・免除されるケース
不倫した配偶者が再婚し、かつ再婚相手が子どもと養子縁組を行った場合、養育費の減額または免除を申し立てることが可能です。これは、養子縁組によって再婚相手にも法的な扶養義務が生じるためです。
また、自分(義務者側)が再婚して新たに子どもが生まれた場合も、扶養義務の対象が増えるため、養育費の減額が認められる場合があります。
ただし、これらの事情があったとしても自動的に減額されるわけではありません。相手方と合意するか、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てる必要があります。
減額・免除が認められやすい主な事情は以下のとおりです。

| 事情 | 影響 |
|---|---|
| 権利者(受取側)が再婚し、再婚相手と子が養子縁組した | 減額・免除の可能性あり |
| 義務者(支払側)が再婚し、新たに子どもが生まれた | 減額の可能性あり |
| 義務者が重病・失業などで収入が激減した | 減額の可能性あり |
| 子どもが就職し経済的に自立した | 支払い義務の終了 |
| 権利者の収入が大幅に増加した | 減額の可能性あり |
上記の表のとおり、減額・免除を求めるにはそれぞれ相応の事情と手続きが必要です。感情的に支払いを止めるのではなく、必ず法的な手続きを経て対応しましょう。
養育費の未払いが発生したときのペナルティと対処法

取り決めた養育費が支払われない場合、泣き寝入りする必要はありません。法律には、未払いに対応するための強力な手段が用意されています。段階に応じた対応策は以下のとおりです。
履行勧告
履行勧告とは、家庭裁判所が養育費の未払い者に対して「取り決めに従って支払いなさい」と促す手続きです。調停調書や審判書などの債務名義がある場合に、監護親が家庭裁判所に申し出ることで行われます。
費用は無料で、弁護士に依頼しなくても手続きができるという点が特徴です。ただし、あくまで勧告であり、強制力はありません。相手方が無視した場合は次の手段を検討する必要があります。
履行命令
履行命令とは、家庭裁判所が義務者に対して養育費の支払いを「命令」する手続きです。履行勧告よりも強い効力を持ち、正当な理由なく命令に従わない場合は10万円以下の過料が課されます。
ただし、過料はあくまでペナルティであり、未払い分を直接回収できるわけではありません。それでも、相手方にプレッシャーをかける手段として有効です。
強制執行(差し押さえ)
強制執行は、未払い養育費を回収するための最も強力な手段です。公正証書(強制執行認諾文言付き)や調停調書、判決書などの債務名義があれば、裁判所を通じて相手の財産を差し押さえることができます。
差し押さえの対象となる主な財産は以下のとおりです。
- 給与(手取りの2分の1まで差し押さえ可能)
- 銀行口座の預金
- 不動産
- 生命保険の解約返戻金
特に給与の差し押さえは「継続的差押え」として、毎月の支払い日に自動的に差し押さえが続くため、継続的な未払いに対して非常に効果的です。
強制執行には「債務名義」が必要です。離婚協議書のみで強制執行認諾文言のない場合は強制執行ができません。離婚時の取り決めは必ず公正証書として作成しておくことが重要です。
2026年4月施行の法改正が「不倫 養育費」に与える影響

2024年5月に民法等の一部を改正する法律が成立し、2026年4月1日から施行されます。この改正は養育費の回収や親権に関する制度を大きく変えるものであり、不倫が絡む離婚においても非常に重要な内容を含んでいます。
共同親権制度の導入
改正後は、離婚後の親権について「単独親権」か「共同親権」かを選択できるようになります。これまでは離婚後に必ずどちらか一方のみが親権者となる「単独親権」しか認められていませんでしたが、改正後は父母双方が親権を持つ「共同親権」も選択肢に加わります。
ただし、DVや虐待がある場合、または父母間の対立が激しく共同行使が子の利益を害すると判断される場合は、裁判所は共同親権を認めないこととされています。不倫が絡む離婚の場合、感情的な対立が強いケースも多く、こうした事情が共同親権の可否の判断に影響することがあります。
共同親権が認められた場合、子どもに関する重要な決定(進学・医療など)を父母が共同で行う必要があり、事実上の協力関係が求められます。
法定養育費制度の新設
改正法の目玉のひとつが「法定養育費制度」の新設です。これまでは、離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合、後から請求するには調停や訴訟が必要でした。
新制度では、協議離婚時に養育費の取り決めがない場合でも、自動的に一定額(子ども1人あたり月額2万円が目安として示されています)の養育費請求権が発生します。これは暫定的・補充的な制度であり、正式な取り決めができるまでの間の最低保障としての位置づけです。
先取特権の付与
さらに、改正後は養育費債権に「先取特権」が付与されます。これにより、公正証書などの債務名義がなくても、父母間で作成した書面に基づいて相手方の財産(給与・預金等)の差し押さえを申し立てることが可能になります。
これは不倫した配偶者が養育費を払わない場合の強力な回収手段となり得ます。具体的には子ども1人あたり月額8万円を上限として先取特権が認められる予定です。
以下に、2026年4月施行の改正内容のポイントをまとめます。

| 改正内容 | 主な変更点 |
|---|---|
| 共同親権の導入 | 離婚後も父母双方が親権を持てるようになる(選択制) |
| 法定養育費制度 | 取り決めなしでも月額2万円(目安)の養育費請求権が自動発生 |
| 先取特権の付与 | 債務名義なしで財産差し押さえが可能になる(上限月額8万円) |
上記の改正は、養育費の未払い問題を抱える家庭にとって大きな後ろ盾となります。特に不倫が絡む離婚では養育費をめぐるトラブルが起きやすいため、改正内容を正しく理解したうえで対応策を検討することが求められます。
実際に不倫離婚を経験した方の声

実際に配偶者の不倫を経験し、養育費や慰謝料の問題に直面した方の声をご紹介します。
Aさん(30代女性)
「夫の不倫が発覚して離婚しました。最初は養育費なんてもらいたくないという気持ちがありましたが、子ども2人を育てることを考えると、やはり請求すべきだとわかりました。弁護士に相談して、慰謝料200万円と月々8万円の養育費を公正証書にまとめてもらいました。感情と現実は切り離して考えるべきだと痛感しています。」
Bさん(40代男性)
「妻の不倫で離婚しましたが、子どもの親権は妻が取りました。正直、不倫した相手に養育費を払うのは納得いきませんでした。でも弁護士から『養育費は子どものもの』と聞いて、子どものために払うという考えに切り替えました。慰謝料も別途請求して、最終的には話し合いで養育費を少し低めに設定してもらいました。」
Cさん(30代女性)
「離婚後、元夫が養育費を突然止めました。離婚時に公正証書を作っていたので、弁護士に頼んで強制執行の手続きをしました。差し押さえが決まった途端に元夫から連絡がきて、未払い分を一括で支払ってきました。最初からしっかり公正証書を作っておいて本当によかったです。」
不倫と養育費に関するよくある質問

以下では、「不倫 養育費」に関して多くの方が抱える疑問とその回答をまとめています。
Q. 不倫した妻が親権を取った場合、夫はどうしても養育費を払わなければならないのか?
はい、原則として払わなければなりません。養育費は夫婦間の有責性ではなく親子関係に基づく義務です。ただし、妻の収入が夫を大きく上回る場合や、夫に支払い能力がない場合は、算定表上の金額が0円になることもあります。弁護士に計算してもらうことをおすすめします。
Q. 養育費と慰謝料を相殺できないのか?
法律上、一方的な意思表示による相殺はできません。ただし、父母双方の合意があれば「慰謝料と養育費を調整する」という取り決めを行うことは可能です。合意内容は公正証書に残すことが必須です。
Q. 子どもが3人いる場合、養育費はいくらになるか?
子どもが3人の場合、支払う側の年収や受け取る側の年収によって大きく異なります。裁判所の算定表では「子ども3人表」を使用します。目安としては、義務者年収500万円・権利者年収100万円の場合、月額9万〜11万円程度が相場です。より正確な金額は算定表または無料計算ツールで確認してください。
Q. 養育費の取り決めをしないまま離婚してしまった場合はどうなるか?
離婚後でも養育費の請求は可能です。ただし、過去分については原則として請求できず(請求した時点から将来分のみ)、早めに動くほど多く受け取れます。2026年4月以降は法定養育費制度が施行され、取り決めなしでも暫定的に月額2万円(目安)の請求権が発生するようになります。
Q. 元配偶者が再婚したら養育費はなくなるか?
再婚しただけでは養育費は減額も免除もされません。再婚相手と子どもが養子縁組を行った場合に初めて、減額・免除の申し立てができるようになります。
Q. 不倫の証拠がないと慰謝料は請求できないか?
証拠がないと請求が認められない可能性が非常に高くなります。慰謝料の請求には、不倫の事実を証明する証拠が不可欠です。ただし、証拠の収集は違法な方法で行うと逆効果になることもありますので、弁護士や信頼できる探偵事務所に相談することをおすすめします。
Q. 養育費の支払いを止めたら刑事罰を受けるか?
現状(2026年4月改正施行前)では、養育費の不払い自体に直接的な刑事罰はありません。ただし、強制執行認諾文言付き公正証書があれば差し押さえができますし、改正後は書面のみでも差し押さえが可能になります。支払い義務を無視し続けることは現実的なリスクが高まっていることを認識してください。
まとめ:不倫が絡む離婚で養育費に悩んだら早めに弁護士に相談を

この記事で解説してきたとおり、不倫が原因の離婚であっても養育費の支払い義務はなくなりません。子どもの生活を守るための養育費は、夫婦の問題とは切り離された「子どもの権利」だからです。
一方で、正しい知識と適切な交渉によって、慰謝料との調整や養育費の減額・免除が実現できるケースも多くあります。また、2026年4月の法改正により養育費を取り巻く制度は大きく変わりますので、最新の情報に基づいて行動することが重要です。
以下に、この記事のポイントを最終的にまとめます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 不倫と養育費の関係 | 不倫の有責性に関係なく、非監護親に養育費の支払い義務が発生する |
| 養育費の金額 | 養育費算定表をもとに、双方の年収と子どもの人数・年齢から決定する |
| 慰謝料との相殺 | 法律上の相殺は不可。ただし合意による事実上の調整は可能 |
| 払いたくない場合の対処 | 親権取得・養子縁組・収入状況などによる減額・免除申立てが有効 |
| 未払い時の対処 | 履行勧告→履行命令→強制執行の順で対応する |
| 2026年改正の影響 | 法定養育費制度・先取特権により、未払い回収が容易になる |
養育費や慰謝料の問題は、感情的になりやすい離婚のプロセスの中でも特に複雑で、自分だけで判断するには限界があります。少しでも疑問や不安があれば、まず弁護士への無料相談を活用してみてください。専門家のサポートを受けることで、より有利な条件で問題を解決できる可能性が高まります。

